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ホーム > インタビュー > 草郷孝好 × 平山修一 × 枝廣淳子(第4回オープンセミナー)(3):インタビュー

関西大学社会学部教授 草郷孝好氏 × GNH研究所代表幹事 平山修一氏 × 枝廣淳子 Interview06

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「幸福度」を考えるうえでのポイントは「時間軸」、そして「社会のペース」

枝廣:
あともう1つコメントして、最後の質問をお二人にしたいと思います。
経済の規模自体が大きくならない、だけど、その中で次々新しいものが生まれるという、そういう「定常型経済(Steady State Economy)」ということを、元世界銀行のシニアエコノミストのハーマン・デイリーという人が言っています。で、持続可能性を考えたら、定常型経済しかあり得ないと。その定常型経済をどうやって社会や、特に政策を作っている人たちに、分かって受け入れてもらうかというのが、次の私の課題です。
定常型と言った瞬間に、「成長がないのはいけないことだ」とか、「止まってはいけないんだ」とか、「変わらないことは人間にとっていけないことだ」というコメントがたくさん出てくるんですね。別に変わらないわけでも、成長しないわけでもなくて、その中ではほぼ成長し、変わっていく。ただ、総量としては変わらないということを、私は定常型ということで伝えたいんですが。そうした「人間は成長すべきだ」というような成長神話論に対してどう考えるかというのを、考え続ける必要があるというのが1つ。
それで、お2人への質問は、幸福度を測る時の時間軸についてです。つまり、幸福感という感情的な意味での幸福感と言うと、すごく刹那的ではありますね。たまたまおいしいものを食べたあとは、すごく幸福とか。何かすごくいいことがあったら幸福とか、その前に何か嫌なことがあったら、すごく幸福度は低いとか。こういう刹那的な、もちろん感情としてのものもあるけど、それを測っていても政策にはなりませんよね。
なので、政策として使うとしたら、やはりある時間軸での幸福度もしくは幸福感を測らないといけない。今、日本の指標づくりで恐れているのは、もしかしたらもうちょっと刹那的な、「こういうことをやったら国民が喜んで、幸福度が上がるんじゃじゃないか」みたいな、そういう操作できるものとして扱われるのではないかということです。そういう意味で言うと、その幸福度、幸福感と言ったときに、時間軸をどう考えるかというのが非常に大事だと思います。
そういった意味で、特に草郷さん、平山さんにお伺いしたいのは、ブータンのGNHではどういう時間軸で国民の幸福度を測ろうとしているのか。
もう1つは、時間軸とも関連するんですが社会のペースをどう考えるか。
たとえば、今みたいにどんどん加速するような社会の中で追われるような生き方をしていると、何か幸せを感じてもいいようなことがあったとしても、それどころじゃないという感じになると思います。なので、それは幸福の感受度にも、感受性にもつながってくると思うのです。
これは私の仮説ですが、もしかしたらブータンは、自分たちの社会のペースを自分たちで手綱を握って調整しようと、少なくとも過去はしてきているんじゃないかと思っています。割と途上国は、どんどん先進国に追いつこうということで、加速度的にたくさん援助を入れて、開発していることが多いけれど、私が聞いたところによると、ブータンは、いつテレビを入れるのか、いつインターネットにつなぐのか、それをちゃんと国として考えて調整して、国をどういうペースで開発して開いていくかということを考えている、自分たちで手綱を握っていると聞きました。
その時間軸と社会のペース、すごく大きなお題になりますが、そのあたりでお二人の考えとか、ご存じのこととかお聞きできればと思います。

「自分で自分の手綱を握れば社会のペースはコントロールできる」「ブータンの時間軸は"循環のサイクル"」

山間に広がるブータンの風景
山間に広がるブータンの風景
草郷:
どうもありがとうございます。時間軸については、ブータンの場合、GNH指標を2年ごとにチェックすると言っていて、それは自分たちの時系列で推移を追いたいというスタンスだと思います。彼らが、今の生活状況はどうなっているかということを、同じような、仮にGNH指標が完成したとして、それを元にして2年ごとにチェックしていこうとか、そういうことを決めているみたいです。なので、あくまで時間軸、今現状がどうなっているかということを引っ張っていって、それによって社会というものを見る1つのレンズのことだという形で使っているんじゃないかと思っています。
あとは、社会のペース。まったくその通りですね。私も「忙しいですね」とか、「なかなかつかまらないですよね」とよく言われますが、自分なりにコントロールしています。ですから、私はよく寝ています。絶対にこれだけは寝ようとか、この時間、このところは必ず家族と費やさなければいけないというのは、手帳の中に書いています。社会のペースを、自分のペースを守ろうとするためには、自分なりの意思と工夫が必要かもしれないけど、それをやると結構、豊かになりますよ。何か、変な話になっちゃいましたけど。
平山:
そうですね。ブータンは社会のペース、開発のペースというのは、ある程度抑えていると思います。焦らし戦法じゃないですけど、ゆっくり時間をかけて開発計画を精査しているうちに、それが時代遅れになったという場合もありますし、同じような事例を採り入れた国がおかしなことになっていて、「ほーら見ろ。やっぱり駄目だ」と。そういうようなスタンスで考えている部分もあります。
あと、森林にしても、政府は何もわからず、「王様が木を切るなと言うから」と森林をそのままにしていたら、あとあとCO2の排出量取引とか、生態系保全といった分野で彼らが先進的な位置づけにいつの間にかなってしまったりとか。
彼らの時間感覚のベースには循環という考え方があると思います。ブータンの時間軸は循環だと思うんです。やはり農業社会ではありますので、四季で生産物が採れるサイクルなり、一般的な24時間の時間サイクルですね。あと、ブータンに1日いますと、朝、山から風が吹き下ろして、午後になるとだんだん南から風が上がってきて、1日終わるんです。こうした山岳特有の気候のサイクルもあります。
そういった、何かの継続を体感できる循環のサイクルがあると思います。人間自身も輪廻転生によって循環すると思っていますから、彼らは。この時間軸に付随する社会は、一定の方向性を持った循環の螺旋サイクルで動いているんじゃないかと考えています。
あと私見ですが、社会のペース。やはり、自分は何を重視して何に時間をかけるかという軸を決めておけば、ある程度は自分のペースってつくれるんじゃないかなと思います。
それを私たちの社会も、もしそういう人間や自然のペースを重視した一定の軸が決まれば、そういったものにペースを合わせた方がよいという雰囲気が生まれると思います。「もっともっと」「これを、これを」「流行遅れですよ」というような今の社会の風潮は、多くの人が、「いや、そうじゃないでしょ」と言い始めると、だんだん変わってくるのかなという気もしました。
枝廣:
ありがとうございました。
今日はタイから平山さんが、それから関西から草郷さんが来てくださいましたので、お二人に拍手でおしまいにしようと思います。ありがとうございました。

※本鼎談は、第4回オープンセミナー「GNH(国民総幸福) みんなでつくる幸せ社会へ」(2012年3月20日開催)にて行われました。

当日ご参加いただけなかった方のために、セミナーの音声および資料を販売しております。ぜひご利用くださいませ。

お申込みページ(販売期間:2013年2月末まで) http://www.es-inc.jp/shop/32_224.html

Profile

草郷 孝好(くさごう たかよし)

関西大学社会学部教授

草郷 孝好(くさごう たかよし)

行動する社会科学者。東京大学経済学部卒業後、民間会社勤務の後、スタンフォード大学でMA、ウィスコンシン大学マディソン校でPhD(開発学)取得。世界銀行、明治学院大学、北海道大学、国連開発計画(UNDP)、大阪大学を経て、現在、関西大学社会学部教授。「人間開発」(Human Development)の視点に立ち、人々が主体的により善い生き方を実現しうる社会のあり方を探求、研究成果を国際会議や論文に通じ、国内外に積極的に発信している。また、ブータン、ネパール、水俣、新潟、兵庫などの生活現場に足を運び、調査活動や実践支援を展開、統計データではつかむことができない人々の声に耳を傾け、生活者の視点を活かすことに奮闘中。

平山 修一(ひらやま しゅういち)

GNH研究所代表幹事

平山 修一(ひらやま しゅういち)

国際開発コンサルタント(ガバナンス分野)、一級建築士。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻修士課程修了後、(株)シーエスジェイ調査企画部に主任研究員として勤務。ブータン、モンゴル、タイでのODA業務を通じて、途上国の経験や考え方を日本後活き作りに行かせないか、問題意識を持ちつづけ、その実践を目指している。著訳書に『現代ブータンを知るための60章』(明石書店)、『あたたかい地域社会を築くための指標 荒川区民総幸福度』(八千代出版)共著、『ダワの巡礼~ブータンのある野良犬の物語~』(段々社)など多数。GNH研究所代表幹事、日本GNH学会副会長などを務める。また、5代目ブータン国王が結婚式を挙げた、プナカ城のクンレイ(金堂)の設計・施工監督者としても知られる。

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