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ホーム > インタビュー > ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ(2):インタビュー

「ラダック 懐かしい未来」のへレナ・ノーバーグ=ホッジ 聞き手 枝廣淳子 Interview01

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鍵は「多様化」と「地域化」

 枝廣:
映画では、大規模な現代農業と地域密着型の小規模農業の収穫方法が大きく違うというシーンがありますね。まずしなければならないことの一つは、こうした実例やデータを示すことでしょうか。
ヘレナ:
ええ、例やデータを集めることは重要だと思います。しかし、正しいことを行うことが非常に難しい経済・社会の構造下では、こうした実例は困難に直面していることを忘れてはなりません。なぜなら、どこでも、健全な生産活動のための人間による労働は極めてコストの高いものになってしまったからです。子供や病人や土地の世話を自分たちでやろうとすると、コストが高くついてしまう。というのも、私たちは、補助金が与えられている機械と競合しているからなのです。
例えば、ラダックでは、母1人につき、子供の世話をしてくれる人が約10人いました。小さな子供の世話をするために時間を使うことやそのエネルギーはとても大切です。なぜなら、愛され、優しくされた子供は、愛して、優しくできる子供に育つからです。私たちがやらなくてはならない再構築は、私たちの多くに多大な恩恵をもたらすでしょう。
鍵を握っているのは、より伝統的な側面を見直し、新しい地域化のイニシアチブを検討できる大局的な視点だと思います。例えば農業では、さまざまな逆境にもかかわらず、地元の直売所で販売することで成功している農家の例があります。素晴らしいことにこうした直売所では、市場のシグナルによって、大規模なモノカルチャーから多様性へ、農家の移行が促されているのです。農家は経済的にも多様性に関心を持っています。
多様化が進めば、風やあられや病気などの害が発生しても、すべてに同じ被害が出るわけではなくなります。すると農薬や化学肥料の使用量も減らせます。近くの直売所で販売すれば、仲買業者もいないため、売上は時には10倍以上になります。売上が増える一方で、投入物が減ることで生産コストは下がります。
 枝廣:
日本にとても興味深い話があります。ご存知のように、日本の食料自給率は、カロリーベースで約40%と低いのですが、福井県の食料の県産自給率は60%ととても高いそうです。
ヘレナ:
そうなのですか。
 枝廣:
その第一の理由は、自家菜園で野菜を作る人が多いということです。東京では自家菜園を持つことは難しいですが、地方ならできます。二番目の理由がとても興味深いのですが、作った野菜を近所の人に「お裾分け」するからだそうです。これは貨幣を介するフォーマルな経済ではありません。伝統的に贈与経済といわれるものです。地方ではこうした地域経済がとても活発なのです。貨幣を介していませんから、GDPの観点から見ればゼロです。でも、地域レベルでは、多くの幸せやつながりをもたらしています。

映画「幸せの経済学より」

© 2011 ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」

現在のGDPは何を測っているのか

ヘレナ:
経済成長の意味について根本的に考え直す必要がありますね。人々が自給自足の方向へ向かうとGDPは下がります。生産され、消費された食料の量、それが健康的な食料か、いい住まいか、暖房・照明・調理のために十分なエネルギーがあるか、などを測るものさしが必要です。これらを測り始めれば、成長はかなり違うものになると思います。
 枝廣:
ほんとですね。
ヘレナ:
現在のGDPの測定で測られているのは、「商業化」と「自立の損失」だということを理解しなければなりません。それは、自尊心と幸せの喪失にもつながっています。
 枝廣:
ええ。
ヘレナ:
「健康でいる」って、非国民になることだということがわかりますよ。GDPを上げたいなら、病気でいたほうがいいのです。薬を飲んだり、化学療法をしたり、放射線治療を受けたり、病気のほうがいいんです。花を育てるのもだめです。買いに行くべきなのです。畑で野菜を育てると、GDPが下がります。そして、実のところ、戦争があれば、すべての家を新しく建て直さなければならないですから、戦後のGDPにとって役に立ちます。
もう1つ、汚染がひどいことはビジネスやGDPにとって都合がいいのです。例えば、ボトル入りの飲料水、フィルター、あらゆる清浄装置や技術。本当は、清浄しなくてはならないという状況自体、あってはならないのですが。
経済に関する知識として重要なのは、現在のゆがんだ経済市場では、化学物質や着色料を多用し、包装されて、世界の反対側から長距離輸送で運ばれてくる加工品のほうが、自然な製品より安いということです。影の補助金とごまかしのせいです。世界の反対側からジャガイモを持ってくるのは安くないのに、粉末にされ、ポテト・チップスになり、着色され、3重に包装され、世界各地に送られたジャガイモのほうが、新鮮でオーガニックの地域で生産されたジャガイモより安いなんて、まったく間違っています。ごまかされた経済なのです。経済については考えるべきことがたくさんあります。
 枝廣:
まず国が測るGDPと本当の経済成長について、明確に区別したいのです。多くの人が「経済成長=GDP」だと思っています。
ヘレナ:
私が分散や地域化を勧めているのは、地域の町や村だったら「自分たちの池がどのくらい汚染されたか」を進歩の指標にするという失敗はしないからです。村の半分の人に仕事がないという状態を進歩だと考えません。現実や影響を受ける土地や人により近い立場になれば、突如常識的にわかるのです。現実が測ってくれます。GDPがおかしいのは、それが抽象的で自然や人間の現実から遠いことが原因です。
真の進歩と成長を測るためには、地域独自の人間のためのものさしが必要です。また、成長を企業の数の増加で測ることにも興味があります。数が減るのではなく、増えるということです。最大手が二番目企業と合併吸収することでより巨大な企業になります。こうした巨大企業が大きくなりすぎて非効率的になり、強大化しすぎるのです。そうではなく、社会にとって意味のある規模へと細分化していくのです。例えば食料などは、できるだけ家に近いところからリーズナブルな価格で入手したいと人々が思うことは明らかです。
多くの地域では、本物の繁栄の成長には「脱商業化」が含まれます。なぜなら交換がもっと頻繁に行われるようになるからです。
もっとも、お金から完全に脱却しようといっているわけではありません。お金は便利なツールです。税制度もある程度あればいいと思います。共同体として老人や貧しい人たちを助けることができるからです。しかし、私が育ったスウェーデンでは、国が頭でっかちになりすぎて、家族や地域社会から多くの機能を奪い、それが幸せを失わせました。

映画「幸せの経済学より」

© 2011 ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」

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