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ホーム > インタビュー > 森 雅志(4):インタビュー

富山市長 森雅志 聞き手 枝廣淳子 Interview07

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とにかく、データを出して説明、説得

枝廣:
実際に進めるうえで大事なことは何ですか?
森:
結局、突き詰めて考えていくと、最後は1つに尽きますね。とにかく説明をきちんとすること、嫌がられても、一番反対しそうな所に飛び込んでいって、こういうデータを出して、説得するということです。
最初のころ、LRTの取り組みを始める時には、全市をまわって120回くらい説明会をやりましたよ。2時間の説明会を1日に4回やったこともあります。最後は、酸欠で倒れそうになりました(笑)。
それともう1つ大事なことは、100人が賛成するのを待って動いたのでは駄目だということです。ここがとても大事なところです。反対する人がいても、信念と確信があれば、そのうちわかってくれる。学級会的な発想で「クラスの中で反対する人がいるのが嫌だからやらない」というのは違うでしょう。公職の責任の取り方としては。反対があってもやる。その姿勢を打ち出せるかです。僕はずっとそれでやっているから、多くの市民は、「どうせ市長は言い出すと止まらないから」と(笑)。
枝廣:
2013年4月の選挙で四選されましたが、得票率は86%とのこと。市民の市長への信頼度は高いですよね。
森:
乱暴なやり方でやっていますが、伝わっているのだと思います。私はそれを「消極的な支持」と呼んでいます。「本当は気に入らない。だけどしょうがない。だから反対はしない」という人たちがサイレントマジョリティではないでしょうか。本当に声を出して反対している人はほんの一部なのです。
状況が劇的に変わるわけではありませんから、緩やかに、緩やかに進めていくこと。どこまで進んだか、どういう成果が上がってきているか、という成功体験の話をできるだけたくさん、みんなに伝えることによって、理解者が増えて、また次の投資ができる――この繰り返しだと思っています。
富山市街と立山連峰

富山市街と立山連峰

次の焦点はファシリティ・マネジメント

枝廣:
これから力を入れていこうという分野はどういったところですか?
森:
コンパクトシティづくりも進んできたので、そろそろ「ファシリティ・マネジメント」を具体的に打ち出していかないといけないと思っています。2年前から、市役所内に職員のチームを作って、具体的な検討を進め、原案の原案みたいなものを打ち出したところです。
枝廣:
「ファシリティ・マネジメント」とは?
森:
人口減少を考えれば、道路や橋などの新設を抑え、今ある施設を修繕しながら使い続けるとともに、公共施設の統廃合を進めていくことが必要になります。原案の原案では、具体的に「この建物は閉鎖する」といった案も出しています。その通りやると政策決定したわけではありませんが、具体的に出したことに対しては、びっくりした人が多かったようです。
現在は選挙が終わったばかりですから、最初の2年で市民にちゃんと説明をし、あとの2年以内にきちんとした方策を打ち出すことが僕の責任だと思っています。
東洋大学の根本教授の調査によると、全国の人口30万以上の都市の最大公約数的な都市像をみると、市民1人あたり、体育館や学校などを含めた公の施設が2.8平方メートルあるそうです。ところが、富山市では市民1人あたり3.8平方メートルです。これを全て維持していくとなると、非常にコストがかかりますし、ましてや老朽化した建物を全て建て替えるのは不可能です。
市民1人あたりの公共施設の面積
少なくても、その事実を市民にしっかり伝える必要があります。今回の選挙の公約でも、はっきりと「ファシリティ・マネジメントをやります」と打ち出しました。「今後、切り込みますよ」というところまではちゃんと伝わっていると思います。
もうすでにいくつも廃止した施設もあります。市町村合併後に、来館者があまりにも少ない施設などは廃止してきました。これらにはあまり反対もありませんでしたが、これからは、現に使われている施設に切り込んでいくことになりますから大変だと思っています。
枝廣:
どうやって進めていくのでしょうか?
森:
方法はいくつもあります。さきほど言ったように、実際にすでに閉鎖したものもいくつかあります。一定程度利用されているものについては、すぐに閉鎖しなくても、「使える間は使うけれども、更新はしない」というカテゴリーに入れることができるでしょう。
それから、期限を区切って、たとえば「あと20年だけ使う」というやり方もあるでしょう。もう1つ、特に体育施設は、競技種目を特化させることです。すべての体育館をどの競技にも使えるように整えると過剰投資になりますから、「この体育館はフットサルに特化します」「この体育館はバスケットに特化します」というやり方もあるでしょう。そうすると、利用者も増えるし、稼働率も増えるかもしれません。
それから、「今後もしっかりブラッシュアップして、将来市民の体育施設として使っていく」「将来市民の音楽の発表の場として使っていく」「将来市民の練習の場として使っていく」というように、「今後も必要なもの」というカテゴリーもありますね。必要なものは造っていく必要があります。必要な社会資本投資は、将来資本のためにやるべきですから。
そういったカテゴリーを作って、「この施設はA」「こちらはB」と、公の施設にラベルを張る作業を、この4年でやりたいと思っています。
枝廣:
現在使っている施設を廃止されるという市民も出てきますから、これまで以上に痛みを伴いますよね?
森:
ええ。先日の議会でも、「今期の僕の責任の1つは、嫌がられることをすることだ」と明確に言いました。選挙の時も、そう言って選挙戦を闘いました。将来市民のためにすべきことを進めようとしたら、現状を守りたくて反対する人と正面からぶつかることになりますから。

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